第
三十九
段
(
源の至
)
・・・阿波国文庫本
〜
定家本
…
第三十九段
むかし、さい院の御門と申す御門おはしましりけり。そのみかどの御こ、たかいことまうすいまそがりけり。そのみこうせたまうて、御はふりの夜、そのみやのとなりなりけるをとこ、御はふりみんとて、いでたりけり。いとひさしうゐていでたてまつらず。うちなきて
いでたてまつりぬ
。
かゝりける
あひだに、あめのしたのいろごのみ、みなもとのいたるといふ人、
をんなぐるまとみてよりきぬ
。とかうなまめくあひだに、かのいたる、ほたるをとりてをんなぐるまにいれたりけるを、くるまなりけるひと、「このほたるのともすにや
あらん
、ともしけちなんとすめる」とて、のれるをとこのよめる。
いでていなば かぎりなるべみ ともしけち
とし
へなぬか
と なくこゑをきけ
■
あめ
のしたのいろごのみのうたにては、なほぞありける。
■
葬送車が出ていけば、もう皇女とはこれが最後でから、蛍の灯し火は消して
何年も
経ったていないと
思うほど、待っていたのですから、悲しく泣く声を聞いて下さいな
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