第八十六段目離れせぬ雪
 ・・・阿波国文庫本

定家本 第八十五段

 むかし、をとこありけり。わらはよりつかうまつりけるきみ、おほんぐしおろしたまうてけり。むつきにはかならずまうでけり。おほやけのみやづけへしければ、つねにえまうでず。されどのこゝろうしなはでまうでたるになんありける。まだむかしつかうまつり人、ぞくなる、ぜんじなる、あまたまゐりあつまりて、「むつきなればことだつ」とて、おほみき給ひけり。ゆきこぼすごとふりて、ひねもすにやまず。みな人しひてゆきにふりこめるられたり」といふだいて、うたありけり。
 おもへども みをしわけねば めかれぬ
  ゆきのつもるぞ わがこゝろなる

とよめりければ、みこ、いといたうあはれがりて、御ぞぬぎて給けり。
 

   あなた様にお仕えしたいと、思っていますが、目の涙が枯れません

     このように雪が高く積もることは、少しでも長くおそばにいられて、これこそ私の本望です

 
語 句


現代語訳
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