昔、二条の后にお仕えする男がいた。同じ后に仕えている女と、いつも顔を合わせていたから、ずっと求婚し続けていた。「何とか物越しにでもいいからお目にかかり、このじれったく思いつめた気持ちを、すこしでも晴れ晴れさせたい」と言ったら、女はひそかに人目を避けて、物越しに逢ったのだった。物語などをして、男が、
彦星に恋はまさりぬ天の河
へだつる関をいまはやめてよ
この歌に感動して、女は契りを結んだのだった。
原 文 解 説
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