むかしおとこ、うゐかふりして、ならの
かすが野ゝわかむらさきのすり衣 しのぶのみたれ かぎりしられず となんをいつきていひやりける。ついでおもしろきことゝやおもひけむ。 みちのくのしのぶもち すりたれゆへに みだれそめにし われならなくに といふ哥のこころばゑなり。むかしの人は、かくいちはやきみやびをなんしける。 |
春日野の若紫のように美しいあなた方を見て この狩衣のしのぶの模様のように、私の心は果てしなく乱れています |
陸奥のしのぶもじ摺りの乱れ模様のように 一体誰のせいで私の心が、生まれて始めて乱れたのでしょうか |
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