第 十七 段
(
年にまれなる人
)
・
・・阿波国文庫本
〜
定家本
…
第十七段
むかし、
としごろおとづれざりけるひとの、
さくら
みにきたりければ、あるじ、
あだなりとなにこそたてれさくらばな
としにまれなるひともまちけり
かへし、
けふこずは あすはゆきとぞ ふりなまし
きえばありと はなとみましや
すぐに行ってしまうという名で有名な桜の花は
年に数えるほどしか来ないあなたでも、ちゃんと待っていてくれるのですよ
今日来なければ、明日は雪になって降ってしまうでしょう
たとえ消えずに残っていたとしても、それを花として見られるでしょうかね
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