第十七段 (年にまれなる人)


  年ごろおとづれざりける人の、桜の盛りに見に来たりければ、あるじ、
  あだなりと名にこそたてれ桜花
   年にまれなる人も待けり

  返し、
  今日来ずは明日は雪とぞ降りなまし
   消えずはありとも花と見ましや





すぐに行ってしまうという名で有名な桜の花は
 年に数えるほどしか来ないあなたでも、ちゃんと待っていてくれるのですよ


今日来なければ、明日は雪になって降ってしまうでしょう
 たとえ消えずに残っていたとしても、それを花として見られるでしょうかね




語 句


  定家本 狩使本   在原業平 藤原高子 伊勢斎宮 東下り
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現代語訳
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