第 47 段
昔、男が一途に何とかして逢いたいと思う女がいた。しかし女は、この男を浮気者だと聞いて、冷淡さだけが増した歌を詠んで送ってきた。
大幣
(
おおぬさ
)
と名にこそ立てれ流れても
終に寄る瀬はありといふものを
あなたは
大幣
のように、いろんな女の所に通ったて、引く手
数多
(
あまた
)
になってしまいましたから
あなたを好きだと思っても、頼りにすることはできません
返しの歌を男が詠む。
大幣の引く手あまたになりぬれば
思へどこそ頼まざりけれ
大幣という名は評判なのですが、流れ着いたその果てに
最後の瀬は、あるというのに
原 文
解 説
定家本
狩使本
在原業平
藤原高子
伊勢斎宮
東下り
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