異 12 段 【 L 】
昔、在原行平という人がおいでになった。女のところに歌を贈った
思ひつつをればすべなしむば玉の
夜になりなば我こそゆかめ
あなたを思い続けていると、目の前が真っ暗でどうしようもありません
夜になったら私のほうが行きますよ
女の返し歌。
来ぬ人をいまもや来ると待ちし夜の
名残に今日も寝られざりけり
ちっとも来ない人を、今か今かと来るのを待っていた夜の
辛さが残って、今夜も寝られないでいました
(小式部内侍本)
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原 文
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