異 6 段 【F】
昔いた、色事の好きだった女が、自分に飽き気がさしてきた男のところに詠みおくった。
今はとて我に時雨の降りゆけば
言の葉さへぞうつろひにける
今は秋、私にも飽きがきて、時雨が降ってきて
木の葉だけでなく言葉までも古びて色あせるてしまいますの
男の返し歌、
人を思ふ心の花にあらばこそ
風の間に間に散りもみだれめ
あなたを思う私の心が、すぐ色あせる花のようなものであるならば
吹く風のままに、散り乱れることでしょうけど、そんなことはありませんよ
(泉州本)
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