第 三十二 段
(倭文の苧環)
むかし、ものいひける女に、年ごろありて、
古のしづのをだまきくりかへし
昔を今になすよしもがな
といへりけれど、なにとも思はずやありけむ。
大昔の、シズという織物の糸を巻き付けるオダマキを、クルクルと回して繰り返すように
もう一度昔を繰り返して、今にする術があればなあ
語 句
定家本
狩使本
在原業平
藤原高子
伊勢斎宮
東下り
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