第 百五 段
(白露)
むかし、男、
「かくては死ぬべし」
といひやりければ、女、
白露はけなばけななむ消えずとて
玉にぬくべき人もあらじを
といへりければ、いとなめしと思ひけれど、こころざしはいやまさりけり。
白露は、消えてしまいたいのならどうぞ、勝手に消えてしまって下さいな
たとえ消えなかったとしても、それを玉として、糸を通そうなどとする人などもいないでしょうから
語 句
定家本
狩使本
在原業平
藤原高子
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