「群論」の条件



結合則が成立し、また、単位元とその逆元の存在が必要



 群では、ある集合に属する任意の要素の間には、ある作用をする作用素があり、その作用は閉性・結合・交換が成立し、また単位要素とその逆要素の存在が必要である。
 詳しくは、演算を\、要素をA、B、C、単位要素をUとすると、閉性則つまりA¥Bはただ一つの要素であること、結合則 (A\B)\C=A\(B\C)、交換則 A\B=B\A、A\U=Aとなる単位要素U、A\A'=Uとなる逆要素A'が必要であるということである。
 楕円関数の二重周期性の例のように、S方向から行こうがP方向から行こうが必ず次の○に到着できるのである。いや、−Sや−P方向からスタートしても良いのである。本来ならもっと数学的にきちんと定義しなければならないものであるが、あまりに数学的用語の羅列は読者にとってはうるさいだけである。
 だから、群の名称を業平とすると、「栄落」という作用に対して、「好色」という諧謔としての単位要素、「気品」を逆要素として考えたのである。但しここで、「好色」とは、当時の和歌の「好き者」という一般的な意味とは違う、異性の「好き者」を指す新機軸を打ち出しているのだと考えられる。性に関して鈍感になってしまた現代人からは想像できないほどの新鮮さと、胸ときめく想像と、やるせなさを提供したからこそ、「伊勢物語」は語り継がれ愛されたのであろう。
 在原業平の要素については、業平をイメージさせる3・4・5・6・9・39・43・63・65・69・76・77・78・79・82・83・84・87・97・99・107段の中から82・83・84・99段を選び出してみた。これは、業平自作によるもの・原作者の段・後世の追加作者の段から、他の要素を抜き、かつ並べかえたものである。
 斎宮要素は、69・71・72・75・102・104段の中から69・71・72・102段を選択。
 東下り要素は、7〜15のうちから9・10・11・12段を選択。
 二条后要素は、2・3・4・5・6・29・76・95段から2・4・5・6段を選択。
 この試論の場合、物語の命名に従って、69段の斎宮要素から始めているが、前記の法則に従えば他の要素から始めても構わない訳である。つまり、各要素の名を冠した4冊の本があり、そこには順序を示す番号は振られていないと考えればよい。読む順序は、読者の決定する偶然に任せるのである。



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