第 百十 段
(魂むすび)
むかし、男、みそかにかよふ女ありけり。それがもとより、「こよひ夢になむ見え給ひつる」といへりければ、男、
思ひあまり出でにし魂のあるならむ
夜深く見えば魂むすびせよ
恋しさに思いあまって、私から出ていった、魂があるのだろう
もし夜深い時刻に、私の魂が見えたならば、魂結びのおまじないをして下さいな
語 句
定家本
狩使本
在原業平
藤原高子
伊勢斎宮
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