第 30 段


 昔、男がちょっと逢っただけの女の所に歌を贈った。

 
あふことは玉の緒ばかりおもほえて
  つらき心の長く見ゆらむ

    あなたにお逢いする間は、玉の緒ほどの短い時と思えるのに
        冷淡なあなたの心の方は、どうして長く見えるのでしょうか



原 文         解 説


  定家本 狩使本   在原業平 藤原高子 伊勢斎宮 東下り
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