群論・伊勢物語 第5段

(二条后要素_2)


 昔、男がいた。その男は東の五条辺りに、密かに人目を忍んで通ったのである。秘密の場所だったので、門からはとても入ることはできず、子供達が踏んで開けた土塀が崩れた所から、通ったのだった。人がそう出入りする所でもなかったけれど、何度も何度も男が通ったものだから、とうとう家の男主人が聞きつけて、その通い路に、夜毎に見張り番を張り付けて警備したので、男は行っても全く逢うことができずに帰るしかなかった。そうして詠んだ歌は、

人の知らない

  私だけの通い路の関守は

  毎晩毎晩束の間だけでも

  寝てほしいものだ

というものだったので、女性はひどい悲しみで心を痛めたのでした。




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