2.宇宙の未来
さて、宇宙の誕生にとりかかる前に、ずっとずっと先の未来の宇宙を調べておかなくてはなりません。この1回限りの宇宙の未来は一体どうなるのでしょうか。私たちの遠い子孫の話で直接関係はありませんが気になるところです。
未来の宇宙は、
@膨張しつづけて肥大化するのでしょうか。それとも
Aしぼんで潰れてしまう(ビッグクランチ)のでしょうか。または、
B平坦に膨張し続けるのでしょうか。
19922年ロシアのフリードマンが、アインシュタインの一般相対性理論から導き引き出した「膨張する宇宙」は、特殊な異変がない限り、この3通りのパターンを予想することができます。膨張して発散したり、収縮してクランチするのは嫌ですね。
最初の爆発的膨張が続かないのは、宇宙内部に含まれる物質やエネルギーの存在が膨張を抑えるためで、そのバランスで宇宙の未来が決まってくるのです。言い換えれば宇宙に十分過ぎるほどの質量があれば、膨張は停止し(ビッグストップ)、以後収縮に向かい、ビッグクランチと呼ばれる特異点に達して収束して「閉じた宇宙」を形成します。また宇宙にそれほど多くの質量がなければ、永久に膨張し続けて「開いた宇宙」をつくります。これらの中間で程よい質量が宇宙にあれば、今のままで膨張する「平坦な宇宙」が続きます。
膨張と収縮の境界の宇宙のエネルギー密度を臨界密度( 1 × 10-29 g/cm-3)=平坦な宇宙のエネルギー密度)と呼びます。実測の宇宙の密度と臨界密度との比を、密度パラメータ( 宇宙の全物質の密度を表すパラメターでΩで表す )といい、@の場合はΩ<1、Aの場合はΩ>1、Bの場合はΩ=1 で表されます。
2006年の宇宙観測では、Ω=1.02±0.02 という値がでています。これは、私たちの宇宙は「平坦な宇宙」であることを示しています。少なくとも「開いた宇宙」ではなさそうです。これで一安心です。
それより、私たちは地球の近未来の方が気になります。温暖化傾向ですが、これは人間にとっては危機ですが、地球や宇宙にとってはさほどではないと思います。成り上がりの人類の好き勝手を直そうと地球が大きく姿を変えるでしょう。勿論そこは人類の住める場所ではなくなります。そしてその時期は何百億年後ではなく何十年後でしょう。その代償は年金も貰えない我々の孫の世代が払わなくてはなりません。人類の住める地球であって欲しいものです。万一地球に住めなくなったら、人類はネットワークで繋いだ人類の頭脳をDNAのような一つの情報遺伝子に集積して、どのような環境にも耐えられる、ウイルスのような非生物の情報物質に変身するのかも知れません。
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