宇宙の誕生
序章
 夜、満天の星を見上げていると、自分という存在は何とちっぽけなものだろう、人間の一生など星の一生に比べたらなんと短いものであろうと考えてしまいます。宇宙の雄大さ、遥かなる時間の流れの中で、小さいもの・短い時間などは取るに足りないもののように思えてしまいます。
 我々の短い生命の存在と継続の不思議さを考えさせられますが、それ以上に物質の存在の不思議さ、言い換えればこの宇宙とは一体どのように生まれてきたのかと改めて考えさせられてしまいます。生命の誕生があるように宇宙の誕生も当然あります。生命(DNA)が形を変えてでも必死に継続しようとするように、宇宙もまた継続するのでしょうか。

 夏の夜空を飾る京都の大文字焼きなどに代表される火祭りは、以外にも仏教のしきたりではなく、古代イランのゾロアスター教のしきたりなのです。ドイツのリヒャルト・シュトラウスが作曲した管弦楽曲・交響詩「ツァトゥラウスはかく語りき」(
そういえば映画「2001年宇宙の旅」に2回もバックに流れていましたね。そもそも、交響詩「ツァトゥラウスはかく語りき」は、ファシズムによって利用された『道徳の系譜』は永劫回帰・力への意志の世界においてニヒリズムを克服、「超人」として生きることを主張して、「神は死んだ」で有名なフリードリヒ・ニーチェの音楽版でした。)のツァトゥラウス(ザラスシュトラ)がゾロアスターのことですが、別名拝火教ともいわれています。この宗教のシンボルは、2匹のヘビが円を描いており、後ろのヘビが前のヘビの尻尾を飲み込もうとして大きな口を開けているものでした。これは永久循環を意味します。宇宙は途切れることなく、今の宇宙が死にかけると次の宇宙にバトンタッチされる考え方で、アジア的思考といえます。
 これは、振動宇宙論といって現在の宇宙が後退期に入り最後に野球のボールもしくはパチンコ玉ほどに凝縮した後、急激に膨張して新しい宇宙が形成されることが繰り返されるという考え方です。でも最初の宇宙はどのようにして生まれたかは説明できない欠点をもっていました。この考え方の主張者は膨張と収縮を何回も繰り返しているので、何百億年前の世界は説明のしようがないし、空想すらできないと言っています。これでは年齢不詳の宇宙ですね。
 この振動する宇宙という考え方を否定して、ある特異な時点からから始まりただ1回限りの宇宙であるという考え方がイギリスの有名な車椅子のホーキンンスの理論です。
 かくして、宇宙の出目について侃侃諤諤の論議が戦われてきましたが、2003年2月にとうとうアメリカのNASA(アメリカ航空宇宙局)が宇宙の年齢について結論を出しました。

1.宇宙の年齢
  宇宙の年齢は、46億年の地球の誕生以前であることは確実で、100億年以上前ともいわれてきて、その幅はかなりありました。宇宙の始まりを知るには、宇宙の一番遠い端を知ればいいということを物理学者ガモフが予言しました。つまり初期宇宙からの残存光を計測することで、その光は現在は電波としてとらえられます。それは絶対温度3度の電波が全宇宙からやって来る(「3K宇宙背景放射」という)ことから判明し、振動宇宙論は却下されました。そして宇宙の年齢を知るには、宇宙の膨張速度をもとにして過去にさかのぼると、どんどんと縮んで膨張以前のある1点まで凝縮されるので、その点から現在までの時間を計算すればいいのです。その膨張速度の基本になるのは、「ハッブル定数:H
」というものです。これは地球から326万光年(=1Mpc :メガ・パーセク 、これを距離rとする)離れた天体が、秒速何キロメートルで遠ざかるか(後退速度:v。これは天体からの光のスペクトルの赤方偏移のドップラー効果を調べる)を表すものです。ハッブル宇宙望遠鏡の観測ではそれまでの宇宙の年齢は100億年ほどだと計算していたのですが、それより古い年齢の天体が発見されてしまったのでした。アメリカNASAは人工衛星WMAを打ち上げてハッブル定数 H=71±4 km/s/Mpc を決定しました。すなわち

 時間t=r/v=1/≒137億年 (密度やアインシュタインの宇宙定数も関係してくる)

 これでようやく宇宙の年齢は 
137億年 と決まりました。

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