第 八十 段
(おとろへたる家)
むかし、おとろへたる家に、藤の花植ゑたる人ありけり。やよひのつごもりに、その日雨そぼふるに、人のもとへ折りて奉らすとて、よめる。
ぬれつゝぞしひて折りつる年のうちに
春はいくかもあらじと思へば
雨に濡れながら、この花を折りました
今年のうちに、春はもう何日もないと思いますので
語 句
定家本
狩使本
在原業平
藤原高子
伊勢斎宮
東下り
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