第 八 段
(浅間の嶽)
むかし、男ありけり。京や住み憂かりけむ、あづまのかたにゆきて住み所もとむとて、ともとする人、ひとりふたりしてゆきけり。信濃の国、浅間の嶽に、けぶりの立つを見て、
信濃なる浅間の嶽にたつ煙
をちこち人の見やはとがめぬ
信濃の浅間山の嶽に立ち昇る煙を
遠くや近くの人が見て、気に留めないことがあるだろうか
語 句
定家本
狩使本
在原業平
藤原高子
伊勢斎宮
東下り
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