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異 四 段 【D】
- 昔、西の院といふ所に住む人ありけり。市になむいでたりける。女車のありけるに、とかくおかしき事など言ひつきて、「御すみかはいづくぞ」と言ひければ、かくなむ言ひたりける。
わが家は雲居の峯したたかければ
教ふとも来むものならなくに
男、
かりそめに染むる心し深ければ
どか雲居も尋ねざるべき
と言ひて、別れにけり。
(泉州本)
私の家は、雲のかかる山の峰の上にありますので
お教えしたとしても、あなたがおいでになれるようなところではございませんわ
ほんのちょっとお逢いしただけで、染みついた私の恋の心が余りにも深いので
どうしてあなたの雲の家を、尋ねないことがあるでしょうか
語 句
現代語訳