第八十二段
(
雨の音)
・・・阿波国文庫本
〜
異段
…
異一段【A
】
あめのいみじうふりくらして、つとめてもなほいみじうふるに、あるひとのがりやりし。
ふりくらし ふりくらしつる あめのおとを
つれなきひとの こゝろともがな
かへし、
やゝもせば 風ぜにしたがふ あめのおとを
たえぬこゝろに かけずもあらなん
降りつづけ降る雨の音のように、 訪れつづけるのが、
情けのない冷たいあなたの心であってくれればいいのですが
どうかすると、風によって雨の音は変わりますが
その雨の音を、たえず変わらない私の心に、引きかけないでほしいのですよ
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