第七十九段
(
千ひろあるかげ
)
・・・阿波国文庫本
〜
定家本
…
第七十九段
むかし、うぢのなかに、みこうまれたまへけり。おほんうぶやに、
みな
人々うたよみけり。おほんおほぢかたなりけるおきなのよめる。
わががどに ちひろあるかげを うえゑつれば
なつふゆたれか かくれざるべき
これはさだかずのみこ。時の人、中条のことなんいひける。あにの中納言ゆきひらのむすめのはらなり。
我が家の門に、千尋もの長さの陰のある竹を植えてあるので
夏も冬も、誰が竹の下に隠れないものがあるでしょうか、みんなそのお蔭をこうむるでしょう
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