第六十八段
(
住吉の浜
)
・・・阿波国文庫本
〜
定家本
…
第六十八段
むかし、をとこ、いずみのくにへゆきけり。つのくにすみよしのこほり、すみよしのさと、すみよしのはまをゆくに、いとおもしろければ、おりゐつゝゆくに、あるひと「すみよしのはまと
いふをくわへて、うみづらを
よめ」といふに、みなひとよまむとするに、
かぎりなく
きくのはなさく あき
も
あれど
はる
は
うみべに すみよしのはま
とよめりければ、みな人はよまずなりにけり。
この上ない
、菊の花が咲く秋は、素晴らしいが
春
は
海辺の、住吉に住むのもよし
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