三十六あわ緒
 ・・・阿波国文庫本

定家本 第三十六段


 むかし、「忘れぬるなめり」と問ひ事しける女のもとに、

  谷せばみ峯まではへる玉かづら
   絶えむと人にわが思はなくに
 

女かへし、
      いつはりと思ふものからいまさらに
     誰がまことをか我はたのまん
 

谷が狭いから、山の峯までずっと生えている、玉かづらのように
 あなたととの仲が絶えようと、私は決して思っていないのに
      
偽りと思うものだから、今更に
    誰が誠実なのだろうか、そんな人に私は必ず頼みます


語 句


現代語訳
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