第三十一段（よしや草葉よ）
　・・・阿波国文庫本

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定家本

…

　むかし、みやのうちにて、あるごだちのつぼねのまへをわたるに、なにをあたにかおもひけん、「よしやくさばの、ならんさがみむ」といふを、をとこ、
　　つみもなき人をうけへばわすれぐさ
　　　おのがうへにぞおふといふなる
といふを、ねたむをんなもありけり。

罪もない人を呪ったりすると、単なる草どころか忘れ草が
　あんたの上に、生えることになりますよ

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