第百十六段（梅壺）
　・・・阿波国文庫本

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定家本

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大島本

第百十八段

　むかし、をとこ、むめつぼより、あめにぬれてひとのまかるをみて、殿上にさぶらひけるをりに
　　うぐひすのはなにぬふてふかさもがな
　　　ぬるめる人にきせてかへさむ

　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　鴬の花を縫ふてふ笠はいな
　

　　　鴬が梅の花に縫って作るという、花の笠があったなら

　　　　　　雨に濡れた様子のあなたに、それを着せてお返ししようか

　　　鴬が梅の花を縫って作るという、花の笠は要りません
　　　　　　あなたの思いの火を灯けて下さいな、それで私の衣を乾かして、今度は私の火をお返ししましょう　

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