第百五段
(
世の憂きこと
)
・・・阿波国文庫本
〜
定家本
…
第百二段
むかし、をとこありけり。うたはよまざりけれど、よのなかをおもひしりたりけり。あてなる女のあまになりて、よのなかを思ふ
に、
うんじて京にもあらず、はるかなるやまざとにすみけり。もとしぞくなりければ、よみてやりける。
そむくとて 雲にはのらぬ 物なれど
よのうきことぞ よそになるてふ
となんいひやりける。
―――――
世に背を向けたといって、仙人のように雲には乗らなないけれど
世間の嫌なことは、関係のないことになるといいます
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