第１０１段（忘れ草）
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阿波文庫本 … 第１００段 　 為氏本・一誠堂 … 第段 　 塗籠本 … 第段

　昔、男が、後涼殿の渡り廊下を歩いていたら、ある高貴な女性が、ご自分の部屋から、忘れ草を「あなたはこの草を、忍ぶ草とお呼びになりますか」といって、侍女に差し出させなさったので、その問いを頂いて男は歌を詠んだ。

　　忘草生ふる野辺とはみるらめど
　　　　こはしのぶなりのちもたのまむ

　　　　　　　　あなたはまるで私を忘れ草の生える野辺と、勘違いなさっているようですが、
　　　　　　　　　　この草は忍ぶ草ですよ、今後もよろしく、お頼み申し上げますネ


原　文　　　　　 　　　解　説
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