第 百十七 段
(住吉に行幸)
むかし、帝、住吉に行幸し給ひけり。
我見てもひさしくなりぬ住吉の
岸のひめ松いく代へぬらむ
御神現形し給ひて、
むつまじと君は白浪瑞籬の
久しき世よりいはひそめてき
私が前に見てからでも、随分久しくなってしまったよ、この住吉の
岸の美しい松は、一体幾代の時を、過ごしてきたのだろうか
私と天皇家とは仲が良いと、あなたは知らないと思いますが
白波の住吉の神は、ずっと久しい昔の世からお祝いはじめています
語 句
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