第 百十六 段
(浜びさし)
むかし、男、すゞろにみちの国まで惑ひいにけり。京の思ふ人にいひやる。
浪間より見ゆる小島の浜びさし
ひさしくなりぬ君に逢ひみで
「なに事も皆よくなりにけり」となむゐひやりける。
浪間から見える、小島の浜びさしは
あなたにお逢いしないで、もう随分と久しくなってしまいましたね
語 句
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