第 97 段


 昔、堀川の大臣という方がいらっしゃった。四十の賀が、九条の家で催される日に、中将であった老人が詠んだ。
  
さくら花散りかひ曇れ老いらくの
   来むといふなる道まがふがに

      桜の花よ、一面に散り乱れて、あたりを暗く曇らせて欲しい
        老いが来るという、道が紛れて分からなくなるほどに



原 文         解 説


  定家本 狩使本   在原業平 藤原高子 伊勢斎宮 東下り
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