第 74 段


 昔、男が女をひどく怨んで歌を詠んだ。
   岩根ふみかさなる山にはあらねど
    逢はぬ日おほく恋ひわたるかな

        私達の間に立ちはだかるのは、岩根を踏んで行くような、重なる山ではないけれど
          私に逢って下さらない日が多く、恋しく思い続けるのです



原 文         解 説


  定家本 狩使本   在原業平 藤原高子 伊勢斎宮 東下り
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