第 57 段


 昔、男が、人に知られない恋に苦悩した。冷淡な女の所に歌を贈った。

 
恋ひわびぬ海人の刈る藻に宿るてふ
  我から身をもくだきつるかな

     あなたへの愛に、気力をなくしてしまいました
      海人の刈る藻に付いているという、「わらかれ」のように、自ら我身を砕いてしまったからです



原 文         解 説


  定家本 狩使本   在原業平 藤原高子 伊勢斎宮 東下り
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