第 49 段


 昔、男が妹のとても綺麗な姿をじっと見て、
 
うら若み寝よげに見ゆる若草を
    人の結ばむことをしぞ思ふ

      とても若々しいので、寝てみたいように見える若草を
        ほかの男が結ぶだろうと、とても気にかかります
と申し上げた。返しの歌。 
   初草のなどめづらしき言の葉ぞ
     うらなくものを思ひけるかな

        初草のように、珍しいお言葉をなぜおっしゃるのかしら
         ただ無心に、あなたをお兄様と思っていたのに



原 文         解 説


  定家本 狩使本   在原業平 藤原高子 伊勢斎宮 東下り
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