異 14 段 【 N 】
昔、恋煩いに落ちた男が、目を覚まして外の方を見ながら横になっていると、
庭の植え込み
の中で、虫が鳴く声々が聞こえてきたので、詠んだ。
かしがまし野もせに集く虫の音や
我だにものはいはでこそ思へ
やかましいものだ。野原一杯に集まって鳴く虫の音よ
私だってものも言わずにじっと耐えているのだから、もっと思いやってくれてもいいものを
(阿波文庫本)
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