第75段大淀の松
 ・・・阿波国文庫本

定家本 第72段

 昔、男がいた。伊勢の国に住んでいた女が、またの忍び合いも出来ないままに、男は隣の国に行くというので、男は大変恨んだので、女は詠んだ、
  
大淀の松はつらくもあらなくに
    うらみてのみもかへる波かな

   大淀の松は、いえあなたを待つ私は、辛い仕打ちをした訳でないのに
      ただ浦を見ているだけで、寄せては返る波のように、あなたは帰ってしまわれるのですね


原 文         解 説


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