第134段
(朝影)
・・・阿波国文庫本
最終段
終
〜
異本章段
…
異13段 【M】
昔、男がいた。ちょっと無理な恋を思い極まって、ある女のもとに歌を贈った。
夕月夜あかつきがたの朝影に
わが身はなりぬ恋のしげきに
夕方出る月よ、私の体は朝日に映る細長い影のようになってしまいました
あなたを恋い焦がれたためなのです
奥付
この本は朱雀院の塗籠に、かや紙に書いてある
のを、自ら、聞いたこと書き写したものです。
高二位に住まいの注にも、このように
書いたとあったけれども、
又、あの業平の、自らの手で書いた本は、
別に在るということを、書き添えたということである。
また、賀茂神社の女官が書いたともいう。
確かな本たち
である。
底本 片桐洋一編 「伊勢物語 異本対照」の
『阿波國文庫旧蔵本』部
原 文
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