第126段芹河に行幸
 ・・・阿波国文庫本

定家本 第114段

 昔、仁和の帝が、芹川に行幸なさった時いい加減な老人が、今はそのようなことはもう似つかわしくないと思ったけれど、前にその役に就いていたから、大鷹の鷹飼いとしてお伴をさせなさった。摺狩衣の袂に書きつけたのだった
  翁さび人な咎めそ狩衣
    けふばかりとぞ鶴も鳴くなる

      老人のような有様を、皆さんどうぞお咎め下さるな、この狩衣でお伴するのも
        今日限りであるよと、今日一日の命の鶴も鳴いています

 帝のご機嫌はとても悪かった。男は自らの年齢のことを思って、この歌を詠んだのだけれど、もう若くはない人にとっては自分のことだと思って聞いたのだということだ。



原 文         解 説



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