第108段白露
 ・・・阿波国文庫本

定家本 第105段

 昔、男が「こんな有様では、私は死んでしまいます」と言って贈ったところ、女は、

  白露はけなばけななむ消えずとて
    玉にぬくべき人もあらじを

          白露は、消えてしまいたいのならどうぞ、勝手に消えてしまって下さいな
           たとえ消えなかったとしても、それを玉として、糸を通そうなどとする人などもいないでしょうから
(薄字:底本脱落?)

と言ったので、男は非常に無礼なやつだとは思ったけれど、女に対する愛情はますます深くなるのだった。



原 文         解 説


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