第 65 段


解説

 若い殿上人と、宮廷の姫との許されぬ恋愛事件の話は、歴史の裏に隠れて数多くあったようである。段の最後の文には、仁明、文徳、清和帝の時の出来事で、読む人によって具体的な例がどのようにも解釈できるようになっている。史実では、業平の兄の行平の女・文子が、更衣として入内して清和帝に仕えたときに、文子の弟・友于も同じ宮廷に仕えている。また、仁明天皇の時代の八四六年に十九歳の青年・藤原有貞が後宮の寵姫と秘密に通ったとして、常陸の国に流罪になってしまったという。有貞の姉の美女・藤原貞子は、年下の従兄妹の仁明天皇の女御として入内したときに、一緒に末っ子の有貞もついていったらしい。(金田元彦著『伊勢物語私記』「伊勢物語の題名について」より)

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送