群論・伊勢物語 第12段

(東下り要素_4)


 昔、男がいた。人の娘を盗んで、武蔵野へ連れて行く途中に、盗人であることから、国の守に逮捕されるところだった。男は女を草むらの中に置いて逃げてしまった。道をやってきた人は「この野群論には盗人がいるようだ」と言って火をつけようとした。女は困って嘆願した。 

武蔵野は今日だけは焼かないで下さいな

  若草の中には

  愛しい夫も隠れているのです

  私も隠れているんです

と詠むのを聞いて、追手は女を捕まえて、男と共に連れていった。




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