【津の国】 兵庫県芦屋市。業平の父・阿保
親王の領地があった。親王の墓
が翠ヶ丘十丁目にある。
【歌一・類歌】 「志賀の海人はめ刈り塩焼
き暇なく しげの小櫛取り
も見なくに」万葉集巻三・
二七八 石川少郎の改作。
【灘】 海流が早く、波の荒い海の難所か、
地名の「灘」のことか。酒蔵でも有名。
【つげの小櫛】 黄楊の木で作った櫛。
【なま宮づかへ】 形だけの宮仕えで、殆ど
出仕しないか、たいした
地位でないこと。
【衛府の佐】 宮中の警護や行幸のお供をす
る役所(左右近衛・左右衛門・
左右兵衛の六衛府)の次官。近
衛中・小将、衛門佐、兵衛佐の
こと。
【このかみも・・・】 業平は八六三年二月
から一年間左兵衛佐に、
翌八六四年四十歳で近
衛権少将になっている。
兄の行平も同年三月に
左兵衛督(長官)になった。
【いさ、この山】 いさごの山(砂子の山)
とする説がある。
【布引の滝】 神戸市葺合区布引町の山中に
ある。雄滝のこと。
【もの】 並の、よそにあるような普通
の滝。
【丈】 一丈は約三メートル。現在
では高さ四三bで、途中五
段に折れて水が落下し、お
のおのの段には三〜三三平
方bの渦状の穴が岩面にで
きている。滝壺の深さは
六b程。
【白絹に・・】 白い飛沫を散らせて、水が
勢いよく流れる様子が、まる
で白い絹の布で岩を覆って
包んでいるような眺めである
という。
【わらふだの】 ワラで作った丸い敷物。
円座。丸い敷座布団。
【小柑子】 小さなミカン。現在のミカン
の原種らしい。
【かひ】 間。
【乱る】 みだす。
【白玉】 真珠。
【袖のせばき】 身分の低いこと。
【歌三・類歌】 「包めども袖にたまらぬ白玉は
人を見ぬ目の涙なりけり」
古今集恋二・安部清行
【かたへ】 側。
【笑ふ】 なぜ笑ったかは不明。何か裏
の意味があったと推測される。
【宮内卿】 宮内省の長官。
【もちよし】 不明。藤原元善の説がある。
元善が当時葦屋に住んでいた
のは有名であった。
【いさり火】 沖で漁をするとき、魚を誘う
為に焚く火。布引の滝から芦
屋までの距離は約十五キロ。
【浮き海松】 海上に浮かんでいる海松。
【歌四】 キラキラ光る漁火を、星や蛍
(魂)になぞらえた。
【波によせられ】 昨晩吹いた強い南風によ
って寄せたもの。
【女】 この家の女主人。
【高坏】 木の台を一本の足で支えた器
で、食べ物を盛る。
【かしは】 柏の葉は広いから、食べ物を
盛るために下に敷いたが、こ
こでは、ホコリよけのために
かぶせた。また、これに歌を
書いたのかも知れない。
【わたつみ】 海神。
【しはふ】 大切に守る。秘蔵する。
【田舎人の歌・・・】 田舎の人が詠んだ歌
としては、まあまあの
出来映えだという意。
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